一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会

理事紹介

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英 裕雄

 これまで私は新宿区を中心に高度在宅医療が誰にとっても無理なく継続ができる診療体制作りを心がけてまいりました。

 思い起こすと平成8年10月に当時東京でもまだ珍しかった在宅医療専門のクリニックである曙橋内科クリニックを開設しました。私自身当時在宅診療とは何なのか手探りをしている状況でしたが、その後徐々に陣容も大きくなり、医療法人社団曙光会へと改組し、落合・代官山にクリニックの展開をしつつ在宅医療専門医療機関の礎を築きました。しかし当時はまだ在宅医療の創世記でもあり、いくら生活を支えるための医療といっても、市民的・国家的・医療的方向性もまだまだ不明瞭な中、私の力不足もあり、実効力のある在宅医療を提供するには至りませんでした。


 そこで平成13年8月に新宿ヒロクリニックを開設し、どんな重症な患者さんでも家で安心して生活できる在宅医療。24時間365日本当に安心して家で生活できる在宅医療体制を作ることを目指してまいりました。その間、いろいろな苦労がありましたが、平成21年7月現在、新宿ヒロクリニック・銀座ヒロクリニック・本郷ヒロクリニックと三施設を擁し、優秀な医師たちや真摯なスタッフ一同と共同で、目標に向かって日々精進できていることを本当に幸せと感じております。


 さて、これまで13年間在宅医療ばかりをしてきた自分としては、その間介護保険の施行や介護サービスの充実、在宅医療器材の充実や、在宅医療を行う医療機関が非常な勢いで増加するなど、隔世の感を感じるほど、在宅療養環境は整備されたと感じております。

 しかし一方でこれだけ介護・医療サービスが充実しても、在宅医療・在宅療養を選択できる患者さんは限られており、まだまだ地域のすべての人たちが安心して在宅療養できる状況にはなっていません。実際介護者がいらっしゃらない方は在宅療養ができずに、長期の入院生活を余儀なくされたり、介護者がいらっしゃる方でも金銭的にも体力的にも大きな介護負担を感じながら在宅生活を強いられているのです。誰もが自宅で、自分なりの人生を負担なく全うしたいと思っていても、なかなか難しいのが実情なのです。


 さらに新宿区など都心部では昨今、急速に高齢者の孤立化が進んでおり、独居の高齢者の方々や老人同士世帯が増加しているという実情を鑑みると、今後ますます在宅療養を選択できる人はますます少なくなっていくのではないかとさえ思えてきます。そこで、昨年度より、新宿区医師会・新宿区と協力しながら『一人暮らしでも安心して療養できる町・新宿』作りを目指し、新宿区医師会診療所にかかりつけ医のための往診サポートシステムを構築し、多くの区民の方々に『新宿いりょうあんしんカード』を配り、直接区民の往診依頼や電話相談依頼などに対応するという予防医療的在宅医療システムの構築を目指してまいりました。

 今後さらにこの地域ケアシステムを充実することで、誰もが安心して家で生活し続けることができる地域医療提供体制を目指していくこととしております。