在宅医療の利用ガイド
在宅医療にかかるお金
梶原診療所
内科・在宅サポートセンター長
平原佐斗司
在宅医療にかかるお金
在宅医療を始めようとする方にとって、どれぐらいお金がかかるかは重要な問題です。
在宅医療にかかるお金は、①医療機関への支払い、②薬局への支払い、③介護保険の自己負担などが主なものです。
通常、在宅医療の主な対象は、老人医療証を持っている1割負担の高齢者の方が多いので、ここではそういった方を想定して、在宅医療にかかる医療費について解説しています。
介護保険の支払いは、具体的な要介護度とケア内容によって異なってきますので、これらが決まった後ケアマネージャーに相談してください。また、薬剤費については、使用する薬剤によってかなり異なります。
訪問診療を受けている方の一ヶ月の保険点数の分布
〜K診療所の2004年7月の在宅患者さん93名の医療点数を見てみました〜

在宅医療を受けている人の医療費(医療機関に支払うお金)は
10人中9人(89%)が1万円以下
4人中3人(76%)は7,500円以下でした。
尚、平均値は6,723円、中央値は5,785円でした。
①93歳女性 進行したアルツハイマー痴呆
1ヶ月にかかった点数5740点(5,740円)の平均的なケース
- 重度のアルツハイマー痴呆。現在は、すでに嚥下障害や転倒など終末期の症状が見られるが、平日のデイケアと医師の月2回の訪問診療を受けている以外は、息子夫婦、娘などの家族介護をうけている。訪問診療では、接し方や環境整備のアドバイス、意思決定の援助、急変時の治療などを受けている。投薬は下剤だけなので、薬剤費はほとんどかからない。
②60歳男性 大腸癌末期
1ヶ月にかかった医療点数17062点(3割負担で51,186円)と高負担のケース
- 転移性肝癌、癌性腹膜炎、骨盤内転移。癌性胸膜炎による呼吸困難に対して、胸腔穿刺、在宅酸素療法を行なった。ホスピス入院までの9日間で5回の往診。保険点数は17062点であるが、3割負担であるので、自己負担は高齢者の3倍となり、自己負担は高額となった。
《末期癌の方の場合、院外薬局で処方するモルヒネなどのオピオイド鎮痛剤の薬価が高いので、これに加えて薬剤費の自己負担が見過ごせません。この方は 9日間でしたがオピオイド鎮痛剤だけに3936.8点(自己負担で11,811円)かかりました。》
③72歳男性 脳卒中後遺症
集中的な治療を行なったため、1ヶ月に34485点(自己負担34,485円)と高負担となったケース
- 四肢完全麻痺。糖尿病でインスリン自己注射、気管切開で週1回の気管カヌレ交換と人工鼻の使用、月1回の胃瘻交換、数箇所の床ずれと糖尿病性壊疽があり、骨髄炎の危険が大。
- 数種類の被覆剤を使用。プロスタグランディンと創傷処置のために13回の往診を実施するなど、集中的な治療を要したため、医療点数が高くなった。
このように、特別な治療を受けない1割負担の高齢者が月2回の訪問診療を受けた場合の標準的な医療費は、
1割負担 : 6,000円
2割負担 : 12,000円
です。
ただし、胃瘻、在宅中心静脈栄養、在宅酸素、在宅人工呼吸療法など特別な治療をお受けの場合、あるいは、注射などの治療や一部の検査をお受けになっている場合は自己負担は増えますが、これらの特殊な医療を受けていても、集中的な治療を行なわなければ、通常1割負担では数千円から2万円程度と考えられます。
在宅医療においても、自己負担限度額が設定されており、自己負担限度額を超えた部分は保険者から償還されます。
A ; 非課税世帯 8,000円
B ; 1割の方 12,000円
C ; 2割の方 40,200円
在宅医療に要する料金の内訳
この料金表は、在宅医療にかかる医療費を診療行為別にみたものです。
高齢者は1割負担の方と2割負担の方がいらっしゃいます。
高齢者以外の方は多くは3割負担ですが、基本料金が異なります。
| 診療項目 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|
| ①在宅総合診療[24時間対応] | 3690 | 7380 | |
| ②定期訪問診察 | 830 | 1660 | 2490 |
| ③臨時往診 | 790 | 1580 | 2370 |
| ④夜間往診 | 1300 | 2600 | 3900 |
| ⑤深夜往診 | 1950 | 3900 | 5850 |
| ⑥休日往診 | 980 | 1960 | 2940 |
| ⑦訪問看護指示料 | 300 | 600 | 900 |
- 在宅総合診療料
− 在宅で療養するにあたり、 医師が定期的に往診を行う必要があり、 ご病状の急な変化及び急病の発症などに対し、夜間・休日を含む24時間の診療体制での療養管理を実施したことに対しての料金です。採血や尿検査、超音波検査など多くの検査がこの中に含まれています。
- 定期訪問診察
− 在宅療養管理計画に基づき行う定期往診にかかるご負担です。 - 臨時往診
− 平日の昼間の臨時往診にかかるご負担です。
- 夜間往診
− 平日・休日を問わず午後5時〜午後10時までの臨時往診にかかるご負担です。
- 深夜往診
− 平日・休日を問わず午後10時〜翌日の午前6時までの臨時往診にかかるご負担です。
- 休日往診
− 休日の昼間の時間の臨時往診にかかるご負担です。
- 訪問看護指示料
− 訪問看護を受けている方への指示書の料金です。
高齢者医療制度の医療費負担についてのチャート
在宅医療の保険診療分では、自己負担限度額を超えた金額については保険者から還付を受けることができます。
※ 1割負担か、2割負担かについては、市区町村から送られてきた老人医療の医療証を見て下さい。
※ 自己負担限度額は、市区町村に確認して下さい。

一医療機関で自己負担限度額を上回っての支払いはありません。
複数の医療機関(薬局を含む)の医療費自己負担が限度額を上回る場合は、還付を受けることができます。手続きは医療保険の種類によって異なります。